深夜2時、震度5弱
2026年8月23日の未明、茨城県南部を震源とするマグニチュード5.9の地震が発生しました。震源の深さは約70km。東京23区、茨城、埼玉、千葉で最大震度5弱を観測しています。津波の心配はありませんでした。多くの職員が眠っている時間帯です。当直と夜勤の職員以外は、それぞれの自宅にいます。そして施設の管理者も、当然のように自宅で寝ていました。この時間に「職員が無事かどうか」を確かめる手段を、どれだけの施設が持っているでしょうか。
電話連絡網では、18秒で何人に繋がるか
従来のやり方を思い出してください。名簿を開き、上から順に電話をかけます。深夜なので出ない人もいます。留守番電話に切り替わるまで20秒ほど待ち、次にかけます。1人目に繋がるまでに、早くても30秒はかかるでしょう。繋がらなければ次に回し、繋がった人には「次の人に連絡してください」と伝える。この方式では、誰がどこまで伝わったのかを、あとから誰も把握できません。台風や地震のたびに連絡網が途中で途切れる、というのは多くの施設が経験していることです。
実際に何が起きたか
この夜、ラクパスを使っている施設では次のことが起きました。地震の発生からおよそ10分後、施設の管理者がスマートフォンから安否確認を発報しました。ラクパスは震度5弱以上を検知すると、管理者に「開始しますか」と確認が出ます。発報するかどうかは現場が決める設計です。そして発報から18秒後、最初の回答が返ってきました。訓練ではありません。実際の地震での記録です。
18秒という数字の意味
18秒というのは、通知に気づいて、画面を開いて、答えるまでの時間です。枕元のスマートフォンが鳴り、寝ぼけたまま「無事です」を押した、というのが実際のところでしょう。安否確認の回答は2タップで終わります。この速さは、職員側が何かを頑張った結果ではありません。答えるのに手間がかからない仕組みだったから、この時間になったというだけです。深夜に叩き起こされて、長い入力フォームを埋めろと言われたら、朝まで放置されても文句は言えません。
管理者が施設にいなくてよい
もう一つ、この記録で見落とせない点があります。管理者は施設にいませんでした。自宅のスマートフォンから発報しています。安否確認のために深夜の道路を運転して施設まで行く必要はなく、誰が答えていないかも手元の画面で分かります。未回答の職員は一覧に色分けで残り、そのままタップして電話をかけられます。「まず現場に行かないと状況が分からない」という状態から抜けられるかどうかは、災害対応の初動を大きく左右します。
平時に試しておけるか
本番で動くかどうかは、平時に試したことがあるかで決まります。ラクパスには訓練モードがあり、「これは訓練です」と明示したうえで、本番と分けて記録できます。夜間想定で実施すれば、回答が集まるまでの時間や、そもそも通知が届かない職員がいないかを、実際の災害の前に確かめられます。BCPの実効性が問われるのは、書類が整っているかではなく、いざというときに人が動けるかどうかです。



