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介護のヒヤリハット事例集|場面別17例と、その場で確かめること・原因・対策・例文

介護のヒヤリハット事例集|場面別17例と、その場で確かめること・原因・対策・例文

結論:ヒヤリハットは「止まったときに確かめること・原因・対策」までセットで読む

介護のヒヤリハットとは、事故には至らなかったものの、事故につながるおそれがあった出来事のことです。

法令に一律の線引きは無く、どこまでを報告の対象にするかは施設ごとに違います。ただし、市町村へ報告すべき事故は、施設内の呼び方にかかわらず報告が必要です。

自治体の事故報告の集計では、京都市・さいたま市とも転倒が最も多く、「その他」「不明」を除いた2番目は、京都市では転落、さいたま市では誤薬でした。飲ませ忘れまで報告の対象にしている青森市では、誤薬等が約36%を占めます。

この記事で紹介する17例は次のとおりです。

  • 転倒・転落:①夜間トイレへ向かう途中のふらつき ②かかとを踏んだ靴 ③高いままのベッド
  • 誤嚥・窒息:④きざみ食でのむせ込み
  • 排泄:⑤便座からのずり落ち
  • 異食:⑥除菌シート
  • 誤薬・与薬もれ:⑦配薬中の取り違え ⑧舌の下に残った錠剤
  • 入浴:⑨シャワーの温度
  • 移乗・車いす:⑩ブレーキのかけ忘れ
  • 医療処置関連:⑪胃ろうのチューブ
  • 離設・送迎:⑫玄関から一人で出ようとした
  • 利用者以外:⑬職員の腰 ⑭職員の転倒 ⑮補聴器の置き忘れ ⑯FAXの誤送信 ⑰停電

利用者の12例は、起きたこと、ヒヤリで止まったときに確かめること、原因(本人・職員・環境)、対策の順に書いています。事故になっていた場合の初動は、別の章にまとめました。事例はすべて説明のための架空の例です。

介護のヒヤリハットとは:施設内の分類と、市町村への事故報告は別の話

運営基準(省令)に「ヒヤリハット」という語はありません。特別養護老人ホームの運営基準は、「事故が発生した場合又はそれに至る危険性がある事態が生じた場合」に報告される体制を整えるよう求めています。

令和7年11月の国のガイドラインは、ヒヤリハットを、事故には至らなかった「少し気になる」程度の些細なものも含む事例として、事故と同じように集めて分析する仕組みが重要だとしています。

どこまでをヒヤリハットにするかは施設で違う

国の調査(令和4年度、回答した特養・老健・介護医療院2,393施設、複数回答)で、ヒヤリハットとして報告の対象にしている範囲は次のとおりでした。

  • 事故は起きていないが、事故につながる可能性が高い事例:92.2%
  • 事故は起きたが、入所者への影響は認められなかった事例:56.0%
  • 診察や検査は必要だったが、治療は必要なかった事例:38.0%
  • 軽微な処置・治療を要した事例:40.5%
  • 自治体への報告対象として定められていない事故:31.8%

治療を要した事例までヒヤリハットの対象にしている施設もあります。ただし、施設内での分類と、市町村への事故報告は別の話です。

国の通知(介護保険最新情報Vol.1332、令和6年11月29日)は、死亡事故と、医師の診断で治療が必要になった事故を原則すべて市町村へ報告するとしています。

ある町(青森県南部町)は、転倒・転落したらケガが無くても事故、喉に詰まっても自力で飲み下せた場合はヒヤリハット、という分類例を示しています。全国の基準ではありませんが、線引きを決めるときの参考になります。

ハインリッヒの法則の扱い

国のガイドラインも、重大事故の背後に多くのヒヤリハットがあるという「ハインリッヒの法則」を紹介しています。ただし比率は労働災害についての経験則です。

厚生労働省の職場のあんぜんサイトは、大事なのは「比率の数字ではなく」、背景にある危険を把握して対策することだとしています。

介護のヒヤリハット・事故で最も多いのは?

ヒヤリハットの全国統計はありません。手がかりになるのは、自治体の事故報告の集計と、一部の自治体の調査です。京都市・さいたま市の事故報告でも、南部町のヒヤリハットの調査でも、最も多いのは転倒です。

自治体の事故報告の集計

  • 京都市(令和6年度・2,197件):転倒61.0%、その他16.2%、不明9.1%、転落5.6%
  • さいたま市(令和6年度・1,930件):転倒51.3%、その他20.9%、誤薬・落薬・与薬もれ13.6%、転落6.4%
  • 青森市(令和6年度・697件):けが又は死亡事故約56%(その8割以上が転倒・転落等)、誤薬等約36%(飲ませ忘れまで報告の対象)

ヒヤリハットの集計

  • 青森県南部町(令和3年度・67事業所・655件):転倒23.4%、転落15.4%

よく引用される「転倒65.6%」は、消費者庁に報告された重大な事故276件(おおむね30日以上の入院)のうち、転倒・転落・滑落を合わせた割合です。ヒヤリハットの統計ではありません。

国のガイドラインは、介護施設でよく起きる事故として、転倒・転落、誤嚥・窒息、異食、誤薬・与薬漏れ、医療処置に関するもの、外出・送迎時のものを挙げています。

事例集:利用者のヒヤリハット12例

以下はすべて架空の例です。国のガイドラインなどの事故事例をもとにしたものは、ヒヤリで止まった場面に置き換えています。施設の手順やマニュアルがあれば、そちらを優先してください。利用者は記号で書きます。

転倒・転落

①夜間、一人でトイレへ向かう途中でふらついた

  • 起きたこと:21時すぎ、Aさんが居室から一人でトイレへ歩く途中でふらつき、壁に手をついて止まった。床に体はついていない。
  • 確かめること:痛みや気分の悪さの訴えがないか。床に体がついていたら、ケガが無さそうでも転倒として後述の初動を行う。
  • 原因:本人:夜間の尿意。職員:トイレ誘導の時間が決まっていなかった。環境:廊下の照明が暗い。
  • 対策:夜間のトイレの時間を本人と確認し、声かけの時間を決める。足元の照明を見直す。
  • 記入例:「21時10分、Aさんが居室からトイレへ一人で歩く途中でふらつき、壁に手をついて止まった。床に体はついていない。痛みの訴えなし。看護職員に報告。」

②かかとを踏んだ靴で歩き、つまずきかけた

  • 起きたこと:食堂へ向かう廊下で、靴のかかとを踏んだまま歩き、つまずきかけた。
  • 確かめること:痛みがないか。靴が足に合っているか。
  • 原因:本人:靴を履くのに手間取る。職員:出発前に足元を見ていなかった。環境:脱ぎ履きしにくい靴。
  • 対策:出発前に足元を見る手順を入れる。家族と相談し、かかとのある履きやすい靴に替える。

③ベッドを高くしたまま離れ、端に座った利用者が落ちそうになった

  • 起きたこと:おむつ交換でベッドを高くしたまま別の呼び出しに向かい、戻るとBさんがベッドの端に座り、前に滑りかけていた。
  • 確かめること:滑り落ちていないか。痛みがないか。
  • 原因:職員:ベッドの高さを戻す前に離れた。環境:呼び出しが重なった。
  • 対策:その場を離れるときはベッドの高さを戻す手順にする。呼び出しが重なったときの応援の頼み方を決める。

誤嚥・窒息

④きざみ食を急いで口に運び、激しくむせた(咳で自分で出せた)

  • 起きたこと:昼食中、Cさんがきざみ食を続けて口に運び、激しくむせた。咳で自分で出せた。
  • 確かめること:食事をいったん止め、咳が続くか、呼吸・顔色・声の様子を確かめ、看護職員に伝える。咳が弱い・できないときは窒息として扱う(後述)。
  • 原因:本人:食べるペースが速い。職員:食事の姿勢を見ていなかった。環境:きざみ食は口の中でばらけやすい。
  • 対策:食べるペースが速い人には、一度に全部を渡さず少量ずつ出す。食べる姿勢と食事の形は、医師・歯科医師・リハビリ職など専門職の評価で見直す。国のガイドラインには、誤嚥の事故をきっかけにきざみ食の提供をやめた事業所の例も載っています。
  • 記入例:「12時20分、昼食中のCさんが激しくむせた。咳で口の中の食べ物を出し、呼吸は落ち着いている。食事を中止し、12時25分に看護職員に報告。」

排泄

⑤トイレで立ち上がるとき、便座からずり落ちそうになった

  • 起きたこと:立ち上がるときに手すりをつかみ損ね、便座から前にずり落ちそうになった。職員が支えた。
  • 確かめること:ふらつきや痛みがないか。
  • 原因:本人:立ち上がりの力の低下。職員:立ち上がりの合図を待たずに、ズボンの準備で目を離していた。環境:手すりの位置が合っていない。
  • 対策:立ち上がりまでは付き添う。手すりの位置や種類をリハビリ職と見直す。

異食

⑥テーブルの除菌シートを口に入れかけた

  • 起きたこと:食堂のテーブルに置いた除菌シートを、Dさんが口に入れようとしていた。口に入る前に止めた。
  • 確かめること:口の中に入っていないか。
  • 原因:本人:食べ物と区別しにくい。職員:片付けのあとに置いたままにした。
  • 対策:消耗品の置き場所を決め、利用者の手の届く場所に置かない。口に入れた時点で事故として扱う自治体の分類例もあります(体に害がない物をすぐ吐き出した場合はヒヤリハット)。

誤薬・与薬もれ

⑦配薬と下膳を並行していて、別の人の薬を渡しかけた

  • 起きたこと:朝食後、下膳をしながら配薬していて、Eさんの薬をFさんに渡しかけた。手渡す前に名前を見て気づいた。
  • 確かめること:誰も飲んでいないか。薬がそろっているか。
  • 原因:職員:配薬と別の業務を同時にしていた。環境:夜勤と日勤の入れ替わりで、配薬の担当が決まっていなかった。
  • 対策:服薬の間は他の業務をしない。名前を読み上げ、本人に確かめてから渡す。国のガイドラインは、多段階の確認と、服薬中は他のケアにあたらず専念することを挙げています。
  • 記入例:「8時10分、下膳と並行して配薬中、Eさんの薬をFさんに渡しかけた。手渡す前に薬袋の名前で気づき、渡していない。看護職員に報告。」

⑧舌の下に錠剤が残っていた(飲み込む前に気づいた)

  • 起きたこと:服薬後に口の中を見たら、Gさんの舌の下に錠剤が残っていた。
  • 確かめること:飲み込めたことを確かめてから離れる。飲み込みにくそうなら看護職員に伝え、薬の形の相談につなげる。
  • 原因:本人:飲み込む力の低下。職員:飲み込みまで確認する手順がなかった。
  • 対策:口の中まで確かめる手順にする。国のガイドラインは、飲み込んだかどうかまで確認することをマニュアルに定めるよう勧めています。

入浴

⑨シャワーの温度を確かめる前にかけそうになった

  • 起きたこと:洗い場で、温度を確かめる前にシャワーを体に向けかけた。
  • 確かめること:湯がかかっていないか。皮膚に赤みがないか。
  • 原因:職員:急いでいた。環境:前の人の後で設定温度が変わっていた。
  • 対策:シャワーは職員の手で温度を確かめてから体にかける手順にする。

移乗・車いす

⑩車いすのブレーキをかけ忘れたまま移乗しかけた

  • 起きたこと:ベッドから車いすへ移るとき、ブレーキがかかっておらず、車いすが動きかけた。
  • 確かめること:移乗を止め、体勢が崩れていないか。
  • 原因:職員:声かけに気を取られ確認を飛ばした。環境:ブレーキが見えにくい位置。
  • 対策:移乗の前にブレーキとフットサポートを指差しで確かめる。

医療処置関連

⑪胃ろうのチューブが服に引っかかりかけた

  • 起きたこと:着替えのとき、胃ろうのチューブが服の袖に引っかかりかけた。
  • 確かめること:抜けかけていないか、固定に問題がないかを看護職員に見てもらう。
  • 原因:職員:着替えの手順にチューブの確認がなかった。
  • 対策:着替えや移乗の前にチューブの位置を確かめる手順を、看護職員と決める。

離設・送迎

⑫玄関から一人で出ようとしていた

  • 起きたこと:送迎の出入りで玄関が開いたとき、認知症のHさんが一人で外に出ようとしていた。職員が気づき、一緒に過ごした。
  • 確かめること:ケガがないか。本人が行きたかった場所や理由。
  • 原因:本人:「家に帰る」という思い。職員:送迎の時間に玄関付近の見守りがいなかった。
  • 対策:送迎の時間帯の動線と人の配置を決める。本人の行きたい理由を聞き、日中の過ごし方を見直す。出られないようにする対策は身体拘束に当たるおそれがあります(後述)。

事例集:利用者以外のヒヤリハット5例

介護労働安定センターの事例集は、利用者のけがだけでなく、利用者の物の紛失・破損、職員のけが、個人情報の漏えいも介護の事故として扱っています。ここでは、ヒヤリハットも同じ範囲で挙げます。

⑬移乗で腰をひねる姿勢になった(職員)

  • 起きたこと:ベッドから車いすへの移乗で、体をひねったまま持ち上げる姿勢になり、ひやりとした。痛みは出ていない。
  • 原因:一人で無理に移乗した。介助の高さが合っていなかった。
  • 対策:ベッドの高さを合わせる。2人介助や福祉用具を使う基準を決める。

⑭浴室の床で滑りかけた(職員)

  • 起きたこと:入浴介助の後、濡れた浴室の床で職員が滑りかけた。
  • 対策:介助の後に床の泡を流して水を切る手順にする。滑りにくい履物を用意する。

⑮訪問先で利用者の補聴器を置き忘れかけた

  • 起きたこと:訪問介護の入浴介助で外した補聴器を、洗面所に置いたまま帰りかけた。
  • 対策:外した物は決まった場所に置き、帰る前に本人と確かめる。

⑯利用者の情報が載った書類を、別の番号へFAX送信しかけた

  • 起きたこと:ケアマネジャーへの書類を送るとき、番号を手で入力して1桁間違え、送信前に気づいた。
  • 対策:番号は登録から選び、送信前に2人で確かめる。個人情報の漏えいは事故として扱われます。

⑰背上げしたまま停電し、利用者がずり落ちそうになった

  • 起きたこと:電動ベッドの背を上げた状態で停電し、戻し方が分からないうちに利用者が前にずり落ちそうになった。
  • 対策:取扱説明書で停電したときの操作を確かめ、手順書に入れる。

事故になっていたら:転倒・むせ込み・誤薬の初動

床に体がついた、薬を飲んでしまった・飲み忘れたなど、事故になっていたら(または迷ったら)、施設の手順に従って次を行います。

転倒・転落

日本老年医学会と全国老人保健施設協会の「介護施設内での転倒に関するステートメント」は、発見した職員が最初に確かめることとして、受傷部位、意識(声かけへの反応)、自覚症状(頭痛・吐き気・動かしたときの痛み)などを挙げています。

確かめたら看護職員・医師に伝えます。

国のガイドラインは、ルールの例として「頭を打っている場合は即受診する」を挙げています。

むせ込み・窒息

咳ができる間は、咳を続けさせて見守ります。咳が弱い・できない、喉をつかむ(窒息のサイン)ときは、看護職員の到着を待たずに、周りの人に119番通報を頼み、背部叩打を始めます。効果がなければ腹部突き上げに移ります(総務省消防庁・日本医師会)。

看護職員には並行して連絡します。日本医師会は、助ける人が一人だけのときは、119番通報の前に異物除去を行うとしています。腹部突き上げを行ったときは、内臓を傷めている可能性があるため、救急隊か医師に伝えます。

意識がなくなったら、心肺蘇生に移ります。日本医師会は、心肺蘇生の途中でも、見えない異物を探して口にやみくもに指を入れないよう呼びかけています。

誤薬・与薬もれ

別の人の薬を飲んでしまった、飲ませ忘れた、服薬後に床で錠剤を見つけたときは、どれも誤薬・与薬もれの事故です。国のガイドラインは、利用者が薬を落とした場合も与薬漏れに含めています。

誰が・どの薬を・いつ・どれだけ飲んだか(飲まなかったか)を確かめ、看護職員がいれば呼び、不在なら電話で指示を仰ぎます(国のガイドラインの初動)。

医療的ケアの線引き

介護職員が行える医薬品の使用の介助は、国の通知で条件つきで示されています。喀痰吸引や経管栄養は、登録した事業所で研修を修了した介護職員が、医師の指示のもとで行うものです。迷ったら施設の手順に従い、看護職員に伝えます。

対策を考えるときの注意:身体拘束にしない・防げない事故もある

厚生労働省の身体拘束の手引き(令和7年3月)は、ベッドを柵で囲む、車いすにベルトやテーブルをつける、自分で開けられない居室などに隔離する、といった行為を身体拘束の例に挙げています。

切迫性・非代替性・一時性の三つの要件を満たすケースは極めて少ないとしています。

転倒のステートメントは、予防策をとっていても一定の確率で転倒は起きるとし、国のガイドラインは、生活の場である以上、防ぐことが難しい転倒があるとしています。ヒヤリハットの対策は、動けなくする方向ではなく、手順と環境を変える方向で考えます。

国の事故報告書の様式は、再発防止策を「手順変更」「環境変更」「その他の対応」に分けています。この記事では、その他の対応のうち福祉用具の見直しなども対策に含めています。

報告書に書くときの型と記入例

国のガイドラインは、時系列で書き、事実と推測を分け、原因を本人・職員・環境の要因別に考えられる様式が効果的だとしています。

施設の様式が無い場合の簡単なテンプレートです。

  • 日時・場所
  • 利用者(記号で)
  • 起きたこと:見たことを時間の順に
  • その場で確かめたこと・連絡した相手
  • 原因:本人・職員・環境
  • 対策

起きたことと原因は分けて書きます。たとえば①なら、起きたことに「21時10分、Aさんが居室からトイレへ一人で歩く途中でふらつき、壁に手をついて止まった。床に体はついていない」と書きます。

原因の欄には「夜間の尿意があったと思われる」「トイレ誘導の時間が決まっていなかった」「廊下の照明が暗い」と分けて書き、推測は推測と分かる書き方にします。

国のガイドラインは、報告の目的は「職員の責任追及ではなく利用者に対するケアの改善」だとしています。

施設でヒヤリハットを集めて活かす:委員会・研修・周知

介護保険施設には、運営基準で、事故発生の防止のための指針、報告と改善策を周知する体制、委員会と研修、担当者が求められています。

令和3年度の介護報酬改定で担当者の設置が加わり、これらの措置を講じていない施設は減算になります(安全管理体制未実施減算)。

訪問介護の運営基準が求めているのは、事故のときの連絡・記録・賠償で、指針や委員会の規定はありません。

研修と、報告を集めるための4つの点検

平成18年改正時の解釈通知は、研修を年2回以上と新規採用時に行うとしていました。令和4年度の国の調査では、令和3年度の事故防止のための施設内研修の開催は平均2.6回でした。

国のガイドラインは、施設内の実際の事例を使う職員参加型の研修も有用だとしています。この記事の事例を1つ選び、「どこが危なかったか」「原因は本人・職員・環境のどれか」「何を変えるか」を話し合う使い方ができます。

ガイドラインは、報告を活性化させるための点検として次の4つを挙げています。

  • 職員に報告の重要性が理解されているか
  • 職員への責任追及が行われていないか
  • 職員が書きやすい様式を使っているか
  • 報告へのフィードバックを行っているか

周知の現状

令和4年度の国の調査では、委員会の決定事項の周知方法(複数回答)は、紙の配布・回覧・掲示78.5%、定例の研修や会議71.8%、シフト交代時の業務連絡(朝礼など)46.3%、メールやグループウェア22.5%でした。

事故防止の研修を職員の8割以上が受講した施設は、常勤で56.7%、非常勤で38.6%(非常勤のいない施設を含む全体に対する割合)でした。

勤務の交代で伝える内容は「介護の申し送りとは?」で解説しています。

よくある質問

ヒヤリハット報告書は義務ですか?

介護保険施設に求められているのは、ヒヤリハットを含めて報告され、分析して改善策を周知する体制です。個々のヒヤリハットを市町村へ報告する義務ではありません。訪問介護などは、求められる内容が異なります。

ヒヤリハットと事故報告書の違いは?

施設内の報告様式は、ヒヤリハット用と事故用を分けている施設も、1枚にまとめている施設もあります。

市町村への事故報告は別の手続きで、国の様式通知(Vol.1332)は、死亡事故と、医師の診断で治療が必要になった事故を原則すべて報告するとしています。それ以外の事故の範囲は自治体ごとに決まっています。

訪問介護ではどんなヒヤリハットが多いですか?

訪問介護だけの公的な統計は見当たりません。

参考として、介護労働安定センターの報告書(平成30年)にある福祉共済の賠償事例では、訪問サービス142件のうち、訪問先での物の紛失・破損が56.3%で最も多くなっていました(事故の賠償事例で、ヒヤリハットの件数ではありません)。

国のガイドラインは、訪問系は1人でケアをするため、事故が起きたときに焦って適切に対応できないケースがあるとしています。通所系では、家族などとの情報共有が最も重要だとしています。

参考にした公的資料

この記事は、職員ポータル「ラクパス for Hospital」を運営する株式会社Central Medienceが、公的資料をもとに作成しました。

この記事で扱った機能

ラクパスのヒヤリハット報告(BASICプラン以上)では、転倒・与薬・チューブ類のほか、職員のけが、設備の不具合、停電、情報の取り扱い、ハラスメントも種別として選べます。

報告先は、施設長やリーダーなど、施設が名簿で設定した役職から自動で決まります。月次・種別などの集計ができ、CSV出力はPROプラン以上の機能です。

入力画面には「個人が特定できる書き方(お名前・カルテ番号など)は避けてください」と表示されます。利用者の氏名や居室番号は書かず、個人のスマホを業務に使えるかどうかは施設のルールに従ってください。

運営基準で求められる指針・委員会・研修の体制は、各施設で整える必要があります。

ヒヤリハット報告の入力画面の例
ヒヤリハット報告の入力画面の例※画面はイメージです

ラクパスを使うと

  • ✓転倒や与薬だけでなく、職員のけが・設備・停電・情報の取り扱いも同じ画面で報告できます(BASICプラン以上)。
  • ✓報告先は、施設が名簿で設定した役職から自動で決まります。
  • ✓月次・種別・時間帯ごとに集計できます(CSV出力はPROプラン以上)。

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ヒヤリハット報告のくわしい説明を見る

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