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介護の申し送りとは?伝え方と例文テンプレート、夜勤明けの申し送りを短くする考え方

介護の申し送りとは?伝え方と例文テンプレート、夜勤明けの申し送りを短くする考え方

結論:急ぐことから、1件ずつ「目的・事実・頼むこと」で伝え、受け手の言い直しで終える

介護の申し送りは、勤務の交代や担当が替わるときに、利用者の様子や対応、注意してほしいことを次の職員に伝える業務です。

複数の件があるときは、急変・転倒・発熱など急ぐことから伝えます。1件ずつは、次の順で伝えると抜けを防ぎやすくなります。

  • 目的を一言:「依頼です」「注意です」「共有です」
  • 誰の・いつ・何が:居室と名前、時刻、見たこと
  • どう対応した:誰に報告し、何をしたか
  • 次に頼むこと:何を、いつまでに
  • 受け手の言い直し:受け手が要点と頼まれたことを言い直す

最初に目的を一言添えるのは、申し送りノートの研究と国のガイドラインの「目的を書くルール」を、口頭にも当てはめたこの記事の提案です。

国が申し送りを廃止したわけではなく、口頭で行う決まりもありません。後半ではその根拠と、施設で申し送りを見直すときに決めておくことを紹介します。

介護の申し送りとは:目的と、引き継ぎとの違い

申し送りの目的は、職員が替わっても、利用者へのケアと安全を途切れさせないことです。介護の情報共有には、記録・ノート・会議などがあり、申し送りはその手段の1つです。

ある介護施設の調査では、勤務時間の約25%が職員間の情報共有に使われていました(2013年の論文、1施設の調査)。

引き継ぎとの違い

「引き継ぎ」と「申し送り」に厳密な区別はありません。日本国語大辞典は「引継ぐ」を「あとを受け継ぐ人に申し送りをする」と説明しています。

厚生労働省の資料でも、勤務交代の場面を「交替制勤務における引継ぎ時間」と書いており、二つの言葉は重なって使われています。

介護の申し送りで伝える内容

伝える内容は、施設の申し送り表や記録の項目に合わせます。よく伝える内容は次のとおりです。

  • 心身の変化:体温などの測定値、表情、言動、睡眠
  • 食事・水分・排泄:量や回数の変化
  • 皮膚の状態:赤み、内出血、傷
  • 服薬・塗り薬・湿布:誰が行ったか(介護職の介助か、看護職か)と、飲めなかった・嫌がったなどの変化
  • 認知症の症状の変化:その日の様子と、落ち着いた関わり方
  • 看取り期の方:状態と、本人・家族の意向で決まっていること
  • 事故・ヒヤリハット:時刻、対応、誰に報告したか
  • 家族からの要望・連絡
  • 看護職・医師からの指示
  • 利用者どうしの関係・トラブル
  • 予定:受診、面会、入退所、行事

介護職が行える医薬品の使用の介助は、国の通知で条件つきで示されています。軟膏の塗布でも、褥瘡の処置は含まれません。褥瘡や傷は、観察した事実(大きさ・色など)を看護職に伝えます。

サービスによる違い

入所の施設では、夜勤と日勤が交代するときの申し送りが中心です。ユニット型の特別養護老人ホームでは、夜間は2ユニットごとに1人以上の配置とされていて、1人の職員が2ユニット分を申し送ることがあります。

ショートステイでは、送迎のときに生活相談員・介護職・看護職などで利用者の様子を受け渡すことがあります。デイサービスでも、送迎時に家族から受けた伝言を、その日の担当に伝える場面があります。

訪問介護では、サービス提供責任者からヘルパーへ、直接会えない職員に伝える工夫が必要になります。

伝わる申し送りの伝え方と順番

急ぐことから伝える

急変・転倒・発熱など、すぐ対応が必要なことから伝えると、受け手が優先することを先に把握できます。

最初に目的を一言

申し送りノートを調べた研究者が、申し送りを支えるシステムの設計案として、送り手の意図を一言のラベルで示す方法を提案しています(人間工学、2015年)。国のガイドラインも、共有する情報に「報告」「連絡」「相談」などの目的を書くルールを勧めています。

口頭でも「依頼です」「注意です」と最初に言うと、受け手は聞き方を決められます。

事実と推測を分け、数値で言う

いつ・誰が・何を、を明確にし、「元気がない」ではなく「昼食を半分残した」のように見たことを伝えます。

看護職への報告には、状況・背景・評価・提案の順に伝えるSBARという型も使われます。詳しくは「看護師の申し送りとは?」で紹介しています。

受け手が言い直す

病院向けの枠組みですが、米国の医療研究・品質局(AHRQ)が紹介する申し送りの型(I-PASS)は、受け手が要約し、質問し、やることを言い直す手順で終わります。受け手は、利用者ごとに頼まれたことと時刻だけをメモし、最後の言い直しに使います。

よく使う言葉と、伝わる言い換え

施設でよく使う言葉は、意味が人によって違うことがあります。見たままの行動に言い換えると、新人やパートの職員にも伝わります。以下は言い換えの例です。

  • 傾眠:声をかけると目を開けるが、すぐに眠る
  • 拒否:入浴に誘うと「今日はいい」と言い、居室に戻った
  • 臥床:ベッドで横になっている
  • 不穏:夕方から廊下を何度も行き来し、職員に強い口調で話した
  • 帰宅願望:「家に帰る」と言って玄関の前に立っていた

そのまま使える申し送り表のテンプレートと例文

申し送り表のテンプレート(そのまま使える項目)

印刷して使う場合は、次の7項目を列にした表にすると書きやすくなります。

  • 目的:依頼/注意/共有(例:依頼です)
  • 利用者:居室・氏名(例:201号室 Aさん)
  • いつ・何が:時刻と見たこと(例:3時、ベッド横の床に座っていた)
  • どう対応した:行ったこと(例:その場で痛み・傷を確認してからベッドへ介助)
  • 誰に報告・連絡した:相手と時刻(例:3時10分 オンコールの看護職)
  • 次に頼むこと:内容と時刻(例:日中のトイレ移動は見守り)
  • 確認したこと:受け手が言い直した内容

以下の例文は架空の例です。施設の手順・マニュアルがあれば、そちらを優先してください。

例文①:夜勤から日勤へ(夜間に床に座っていた)

「依頼です。201号室のAさん、3時の巡回で、ベッド横の床に座っているのを見つけました。転んだ場面は見ていません。」

「その場で痛みや傷がないかを確かめてから、ベッドに戻ってもらいました。痛みの訴えはありません。3時10分にオンコールの看護職へ電話し、頭を打った様子がないかと、朝までの様子を見るよう指示を受けています。」

「その後、6時まで2時間ごとに見て、変わりはありません。受診が必要かは、看護職が朝に判断する予定です。」

「家族への連絡は、施設の決まりで相談員さんが9時にする予定です。管理者には報告済みです。日中、トイレに移動するときは見守りをお願いします。」

例文②:発熱

「注意です。305号室のBさん、5時の体温が37.8℃でした。朝食は半分で、水分は200mL、せきが少し出ています。」

「5時10分にオンコールの看護職へ報告し、昼まで2時間ごとに体温を測るよう指示を受けました。同じフロアに、ほかに熱のある方はいません。7時は37.6℃でした。次は9時に測ってください。」

例文③:家族からの要望

「依頼です。102号室のCさんのご家族から、昨日の面会のときに、冬物の服を持ってきたので衣替えをお願いしたいと言われました。受けたのは私です。今週中に、担当の方で衣替えをお願いします。」

例文④:ショートステイの送迎時

「共有です。今日から利用のDさん、ご家族によると、この1週間は夜に何度か起きているそうです。持ち物は着替え3日分と靴です。ご家族からの伝言で、入浴は午前中を希望されています。お薬は3日分を預かり、看護職に渡しました。今夜の巡回では、眠れているかを見てください。」

申し送りノートの書き方と、記録との使い分け

申し送りノートを使う施設もあります。ノートについてのインタビュー研究では、書き込みの少ない職員は、ノートを連絡帳と捉え、指示や要望だけが書かれるものと考えていました。書き込みの多い職員は、言外の意図も込めて書いていました。

ノートに書くときも、冒頭に目的を書くと、読む人が意図を受け取りやすくなります。

運営基準が施設に求めているのは、提供したサービスの内容などの記録です(特別養護老人ホームの基準では完結の日から2年保存。自治体の条例で延ばしている場合があります)。

ノートは記録の代わりになりません。記録で読めることは、口頭では要点だけにします。急ぐことや注意してほしいことは、記録にあっても口頭で伝えます。

申し送りのコツと、守ること(秘密保持・個人の端末)

コツ

時刻と見た事実を伝え、やり残しは急ぐことの次に言います。分からないことは、その場で聞きます。

病院向けの情報ですが、日本医療機能評価機構は、口頭で指示や依頼を受けるときは、対象を復唱して確認するよう呼びかけています。

秘密保持

介護福祉士には秘密保持義務があり、介護福祉士でなくなった後も同様です。社会福祉士及び介護福祉士法は、違反した場合の罰則(1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金。告訴が必要)を定めています。

特別養護老人ホームの運営基準は、資格の有無にかかわらず従業者に秘密を漏らさないことを求め、辞めた後も漏らさないよう施設が措置をとることを定めています。訪問介護の基準(第33条)など、ほかのサービスにも同じ趣旨の規定があります。

個人の端末

厚生労働省の補助事業でまとめられた「介護事業所における情報安全管理の手引き」(令和8年4月)とその解説書は、個人情報は事業所が管理し対策をした端末で扱うことを求めています。

業務に職員個人のスマホやパソコンを使うのは避け、どうしても使う場合は十分なセキュリティ対策をして管理者の許可を得るよう求めています。利用者の申し送りを、個人のLINEで送るのはやめましょう。

介護の申し送りは廃止されるのですか?

国が申し送りを廃止したことはありません。一方で、口頭で行うよう決めているわけでもありません。

特別養護老人ホーム・老人保健施設・介護医療院・訪問介護などの運営基準(国の省令)に「申し送り」という言葉は出てきません。求められているのは、提供したサービスの内容などを記録して保存することです。

国の生産性向上ガイドライン(令和6年度改訂)は、目指す取組の例として「申し送り事項が決められておらず、人によって異なる引継ぎを行っているために時間がかかっている」状態を挙げ、申し送り事項を標準化して時間を短くすることを示しています。

国立ハンセン病療養所の、看護師と介護員がともに働く病棟では、3年かけて介護の学習会を行い、介護員が記録を書けるようになったうえで、合同の口頭の申し送りを廃止しました。介護員が主体的に情報を集めるようになったと報告されています(2008年、学会抄録)。

病院での短縮・廃止の事例は「看護師の申し送りとは?」で紹介しています。

施設で申し送りを見直すときに決めておく5つのこと

①申し送る事項をそろえる

人によって伝える内容が違うと、時間がかかります。国のガイドラインが示すとおり、申し送る事項を話し合って決め、全員でそろえます。

②情報ごとに伝える手段を決める

国のガイドラインは、共有する情報を、緊急度や重要度、個人情報の有無で分け、ふさわしい手段をルール化するよう勧めています。

たとえば、利用者の記録は介護記録へ、急ぐことは口頭やインカムで、利用者の個人情報を含まない業務連絡は文書・掲示・連絡ツールで、という分け方です。

ガイドライン(令和6年度改訂版)に掲載された特定施設の事例では、手書きの記録を記録システムに替え、書いた内容を申し送りにも使うことで、施設全体で月83.5時間の残業を減らしました。

介護記録ソフトは記録と共有、インカムはその場の連絡、チャットや掲示は全員への周知に向いています。

職員ポータル「ラクパス」のお知らせ機能では、フロアやユニットなど施設で設定した部署ごとに業務連絡を配れます。BASICプラン以上では、まだ読んでいない職員を一覧で確認できます。

利用者の個人情報を含む申し送りは、介護記録など施設が定めた手段で行い、ラクパスは利用者の個人情報を含まない業務連絡に使います。

施設の共用PCやタブレットからも開けます。職員個人のスマホで使うかは、施設の端末ルールに沿って決めてください。既読は開いたことの記録で、理解の確認ではありません。

③集まれない職員への届け方

ガイドラインに掲載された老人保健施設の事例では、申し送りに参加できない職員もインカムで聞けるようにし、日勤前・夜勤前の申し送りが職員1人当たり15分から8分になりました。

特別養護老人ホームの事例では、夜勤明けの職員が朝礼の間も食事介助を続けていた形を改めました。日勤の職員がインカムで朝礼を聞きながら介助を代わり、夜勤明けの退勤を30分程度早めています。

訪問介護の事例では、サービス提供責任者が申し送りを送っても読まない職員に個別に話し、二度手間になっていました。一斉に送り、重要な事項は文書で残す形にしています。

この事例は利用者情報を一斉メールで送っていたものです。いまは前述の手引きのとおり、利用者情報を個人の端末で扱わない前提で手段を選びます。

④申し送りの時間を労働時間として扱い、できれば勤務時間の中に置く

厚生労働省・労働局のパンフレット「介護労働者の労働条件の確保・改善のポイント」は、交替制勤務における引継ぎ時間を労働時間として扱っていない例があるとし、適正に把握・管理するよう求めています。

申し送りを勤務時間の中に置くのは、そこから一歩進めた提案です。

労働組合の日本医労連が、加盟組合のある介護施設に行った調査(2025年6月の勤務実績、131施設195職場)では、夜勤の形態に回答した123施設のうち112施設(91.1%)が2交替夜勤でした。

そのうち98施設は、1回の勤務が16時間以上です。

2交替の職場の65.3%は、夜勤が1人の体制でした。16時間以上の勤務のあとに申し送りが延びれば、その分だけ夜勤明けの職員が帰る時刻が遅くなります。

⑤委員会で見直しを続ける

入所・泊まり・居住系のサービスでは、利用者の安全、サービスの質の確保、職員の負担軽減の方策を検討する委員会の開催が求められています(令和9年3月31日までは努力義務)。訪問介護・通所介護には、この規定はありません。

申し送りの時間や抜けの件数を、この場で定期的に見直すと、決めたルールが続きやすくなります。

よくある質問

申し送りは何分くらいかかりますか?

国が示した目安は見当たりません。前述の老人保健施設の事例では、日勤前・夜勤前の申し送りが職員1人当たり15分から8分になっています。

申し送りに出られないパートや夜勤の職員には、どう伝えますか?

利用者のことは介護記録やノートで、業務連絡は文書や連絡ツールで残し、次の出勤時に読んだかを確認します。

LINEで申し送りをしてもいいですか?

個人のLINEで、利用者の情報を送るのはやめましょう。施設の端末と、施設が決めた手段で行います。職員個人のスマホを使う場合も、十分なセキュリティ対策と施設のルール、管理者の許可が前提です。

新人で申し送りが苦手です。何から練習すればいいですか?

まずテンプレートの7項目を埋めてから話します。最初に目的を一言言う練習をし、先輩に要点を言い直してもらうと、伝わったかを確かめられます。

参考にした公的資料・研究

この記事は、職員ポータル「ラクパス for Hospital」を運営する株式会社Central Medienceが、公的資料と研究をもとに作成しました。

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お知らせ配信。まだ読んでいない職員まで分かります(BASICプラン以上)※画面はイメージです

ラクパスを使うと

  • ✓フロアやユニットなど部署ごとに、業務連絡の配信先を分けられます。
  • ✓まだ読んでいない職員を氏名で確認できます(BASICプラン以上)。
  • ✓施設の共用PCやタブレットからも開けます。

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